2013
06.01

メディアのがん情報について思うこと 追記

前回の記事の追記です。

週刊誌やテレビでのがん情報の特徴はというと

1. がん治療の最前線について
2. がんを克服した人たちの紹介
この二点につきますと書きましたが

これらは、がんという病気からの現実逃避の状況を浮き彫りにしたメディアの姿勢であることを書きました。

もう一つ、
「抗がん剤は効かないので不要、手術も不要」とがん治療そのものを放棄したような、発言もメディアをにぎわせています。このような医学的・科学的にも全く根拠のない情報がもてはやされるのもまた、メディアの現実逃避の姿勢の一つであるように思います。

がんは恐ろしい病気だから何としても、克服したいが、克服できないのなら、治療放棄しようという現実に目を向けたくないという姿勢があるので、こうした情報がもてはやされるのでしょう。

メディアのもう一つの動機は、お金になるか?ということのように思います。抗がん剤は効かないとか、がん治療最前線とか、センセーショナリズムを煽ったタイトルの方が、一般受けしやすいし、視聴率をかせげるし、読者を増やせるのでしょうね。

医療というものは、その効果に関しては、どのような医療行為も利点もあれば、欠点もあり、その医療を是とするのか、非とするのか、二元論ではいかないところがあります。医療は、リスクとベネフィットのバランスで成り立っていくものなのです。そのリスクとベネフィットをうまく患者さんに伝え、患者さんの個々の状況に合わせて一緒に考え、お互いに合意し、治療方針を立てていくものと思います。このような、一連の過程を、意思決定の共有(Shared Decision Making http://www.kango-net.jp/decisionaid/medical/isdm.html)に基づいたインフォームドコンセントと言います。

抗がん剤は、効果のある人もいるが、効果のない人もいる、非常に強い副作用もある一定の頻度で起こる、などというのは、ややこしくて、伝えにくいのでしょう。

それだから、抗がん剤のことをメディアが伝えるときは、
「夢の新薬、末期がんの人にも朗報」
「抗がん剤で副作用死が急増、抗がん剤承認は取り消すべし」

のような、良いか悪いか、の二元論でしか、報道できないのでしょうね。

医療は、医師が中心であり、医師のためにあるのではありません。
情報も、メディアが中心であり、メディアのためにあるのではありません。

医療も、メディアも、医療や情報の受け手である、患者のため、国民のためにあるものではないでしょうか?

患者・国民のための、正しい医療・正しい医療情報を伝えるには?ということを真剣に考えていたいと思っています。

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