2013
05.31

わがままな患者になりましょう!?

患者さんは、お医者さんの前ではついつい遠慮してしまうものです。特に医者が忙しそうにしていると、こんなこと聞いたら、悪いかな~と、聞きたかったことも聞けなかった、などということも多いのではないでしょうか。誰でもお医者さんから嫌われたくないでしょうから、良い患者になろうとしていませんか?

 がん診療で、特に抗がん剤治療をしているときなど、ご自分の症状をしっかりと医療者に伝えることは大事なことです。抗がん剤の副作用を黙っていてがまんしないでほしいのです。 抗がん剤の副作用はきちんとお話して、早めに対処することが大切です。例えば、タキサン系の薬剤の副作用の末梢神経障害(手足のしびれ)は、なかなか治りにくいものですから、早い内から抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤を投与する感覚を広げたりする必要があります。また、抗がん剤の副作用の中で、最も怖い、しかも時に致命的になる間質性肺炎という副作用はその頻度こそまれ(約1%)ですが、初期症状は、咳から始まることが多いのです。初期には、レントゲンや採血でもわからないのです。

 お医者さん側からしたら、訴えの少ない患者さんの方が楽ですし、訴えがないことを良いことに早く診察を終わろうとします。ひどい場合には、患者さんのお話をさえぎろうとする医者もいるかもしれませんが、それは、プロの医師のすることではないと思います。そんな医者に限って、「何でこんなになるまでほっといたんだ」などと患者を叱ったりするものです。たくさん患者を抱えた勤務医が、ゆっくり患者さんを診ることがあまり許されていない環境にあるということは、医師にとっても患者さんにとっても不幸なことだと思います。でも、勤務医が忙しいことは、患者さんのせいではないですから、患者さんの診療を犠牲にされては、何のための医療かよくわからなくなります。

 実際に、お医者さんというのは、患者さんの訴えには無頓着という医師がまだまだ多いのが現状です。我々は臨床試験といって、新しい抗がん剤や、新しい組み合わせの抗がん剤を患者さんに試す研究をしたりしていますが、以前、医者のみで研究をしていた時代から、治験コーディネーターといって、看護師さんや薬剤師さんが臨床試験に協力してくれる時代になってわかったことは、副作用の頻度が圧倒的に増えてきたことです。実際には、副作用が増えたわけではなくて、医師でなく、治験コーディネーターがしっかりと患者さんの副作用を聞くようになったら、これまで見逃されてきた副作用の訴えを拾えるようになったということです。いかに医者が患者さんの副作用をきちんと聞いてこなかったか、ということが露呈されたのです。

 このように、日常診療で困ったことがあれば、看護師さんや、薬剤師さんに聞いてみる、ということは、良いことと思います。病気と闘っていくのは、つらく孤独なものですから、一人でも多く味方をつくることが大切なことですが、医療者を味方にすることができると大変よいと思います。

 以前よりは、患者さんは、副作用の訴えや診療に対する質問などを言えるようになってきたとは思いますが、実際のところは、医療者に気軽に訴えたり、質問ができたりすることは、まだまだ少ないのではないでしょうか。日本人は、「我慢」「忍耐」を美徳としている民族でもありますから、我慢をしているのが、「良い患者」と勘違いしてしまっているようにも思います。ですので、あえて、「わがままな患者になる」くらいが、日本人にとって、ちょうどよいくらいに思います。

皆さん、日頃言いたいことが言えない方は、明日から、「わがままな患者」を実行してみませんか?

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コメント
先日はメールありがとうございました、はい、勝俣先生!是非、これからわがまま患者でいきたいと思いますので、これからもご指導どうぞ宜しくお願い致します。
ある娘の母dot 2013.06.07 00:03 | 編集
勝俣先生 セカンドオピニオンでは お世話になりましてありがとうございました。

先生のTwitterのフォローから こちらにたどりつきました。

この日のブログでは抗がん剤の量を減らすとありますが どのぐらいから試していくのですか?

そうして どのように経過観察をしていくのでしょうか?

私はガンとの共存を願っていまして やがて再発したときには 日常生活をおくれる少量の抗がん剤治療を担当医に日頃よりお願いしています。が ピンときていないご様子です。
習ってきておられませんものね。

ご教示お願いいたします。

nonnodot 2013.09.13 13:50 | 編集
ご質問ありがとうございます。

手足のしびれ(末梢神経障害)の際には、はしが持ちにくい、食器を洗いにくいなど、日常生活に支障が少しでも出てきたら、抗がん剤を減量していきます。

一般的には、前回の投与量の75%くらいの投与量を投与していく、というのが一般的です。
または、毎週のパクリタキセルの場合には、2-3週の休薬期間を置くと、良くなることがあります。
勝俣範之dot 2013.09.13 14:56 | 編集
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