2013
05.17

「あなたの余命は...」と言ってはいけない

「余命○ヶ月の花嫁」などという映画がヒットし、余命を患者に言うべき、真実?を伝えるべき、という風潮が医療界に広まっている傾向にあるようであり、嘆かわしいことと思われる。そもそも余命を正確に推測できるのか?というと、医師の予測する予後は、実際の予後と一致率がかなり低いとう報告があるしhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=BMJ+2003%3B+327(7408)%3A+195-8

全身状態や経口摂取量などをスコア化した予測式を使っても、3週未満の予後予測は特異度が85%であり、6週未満になると77%台に落ちてしまう>。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10335930

そうすると3ヶ月や6ヶ月の余命を当てることなどは、不可能に近い。実際の医療現場で行われている間違いは、生存期間中央値を言ってしまうことである。中央値とは、データを小さい順に並べたとき中央に位置する値であり、100人患者がいたら、50番目に亡くなった患者の生存期間にすぎない。生存期間の分布は正規分布をなさないために、平均値ではなく、中央値を使うだけの話である。この値を余命と言うのは、医学的にも間違っているし、患者には相当な誤解を与える。患者は余命6ヶ月と言われたたら、「6ヶ月で自分は死んでしまう」と思ってしまうからである。ホスピスへ入院した患者家族への調査から、医師から言われる最も傷つくこととして、「範囲、可能性を言わない断定的な余命告知」「感情への配慮がない」などであったhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Ann+Oncol+15%3A1551%2C+2004

「あなたの余命は○ヶ月」という言葉は、患者側からすると、非常に冷たく、絶望的に聞こえると言う。ある患者は、「私は死刑宣告を告げられた」と言っていた。当たる確率の極めて低いその死亡推定日を指折り数えていた患者もいた。
進行がん患者に予後を伝えるということは、大変困難なことと思われるが、一方的・断定的な予後の伝え方だと、上記のように、患者に絶望しか与えないことになる。ASCO(米国臨床腫瘍学会)では、進行がん患者と予後について、「対話」をすることを推奨しているhttp://www.asco.org/press-center/asco-recommends-steps-improve-doctor-patient-communication-about-end-life-cancer-care

「対話」とは、相手の意向を尊重したコミュニケーションをすることである。「あなたの大切にしたいことは何ですか?」や、「身の回りのことができなくなってきた際に、どこで過ごしたいですか?」などのような問いかけを、患者と早くから話し合うことが大切である。また、患者の、「私の余命は?」との問いかけには、直接答えるのではなく、「なぜ聞きたいのですか?」「どなたでも不安な気持ちになると思います」のような、言葉の背景にある感情を探索し、共感することが大切である。今後の見通しについて、聞かれた際には、「Hope for the Best, and Prepare for the Worst(最善を期待し、最悪に備えましょう)」と答えたい。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12614110

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