2012
09.25

誤ったインフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントが大切と言われて久しいのですが、我が国のインフォームド・コンセントの概念の決定的に間違っていることは、

1.裁判で訴えられないようにするため、医療者の防衛の手段として使われる。
2.医療者は情報提供のみを行い、後は患者が決める(逆パターナリズム化)。

のパターンが横行していることであると思います。

極端に例をあげますと、患者に情報だけを一方的に与えて、治療決定権は患者にあるので、自分には責任がないかのごとくの逆パターナリスティックなインフォームド・コンセントになります。

「術後に化学療法をやらないと○○%の再発があります。術後化学療法をやると、20%くらい再発を防げます。化学療法の副作用は○○です。」
「化学療法するかしないか、あなたに決定権がありますから、あなたが決めてください。」

術後治療の例はまだ良いとしても、再発がんの例になりますと

「あなたの余命は、長くもっても半年でしょう。化学療法をやることは、○%の効果がありますが、延命できるかどうかはわかりません。化学療法やらないという選択肢もあります。」

「化学療法するかしないか、あなたに決定権がありますから、あなたが決めてください。」

両方とも、患者さんに、自己決定権を促すようなインフォームド・コンセントですが、どうお感じになられますでしょうか?


本来、患者のために行われるべきインフォームド・コンセントがいつの間にか、医療者を防衛するための手段となっていることが嘆かわしいことと思います。

インフォームド・コンセントの理念は米国から始まりましたが、その理念は、1982 米国大統領委員会報告書 (A report on ethical and legal implications of informed consent in the patient-practitioner relationship 1-3.1982)にも記載されているように

1.医療者と患者の相互の尊重と参加に基づいた意思決定を協力して行う過程

2.意思決定を行う患者個人が、自らの価値観に基づき、また個人の目標を達成するためにヘルス・ケアの決定を行う権利を持つという原則に基づく

の2点でありました。

1.は医療者と患者の意思決定の共有(英語で、Shared Decision Making)のことであり
2.は患者の自己決定権の尊重のことであります。

つまり、本来のインフォームド・コンセントの理念とは

「Shared Decision Making (意思決定の共有)に基づく インフォームド・コンセント 」であったのですが

我が国では、2に基づくインフォームド・コンセントしか、取入れなかったために、今日の、誤ったインフォームド・コンセントが横行するに至ったものと思われます。

この誤ったインフォームド・コンセントが横行するために

「余命告知」とかが、当然のことのように行われるようになり、その結果、多くの「がん難民」を生み出す原因にもなっていったようにも思えるのです。

「Shared Decision Making」とは何か、 「余命告知」問題については、また機会を改めて書いてみたいと思います。

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