2012
01.31

体に優しいがん治療って?

本日は、遠く鹿児島からセカンドオピニオンにいらっしゃいました。

抗がん剤を受けているが、かなり副作用がきついということなのです。

鹿児島で、がんに対する「体に優しい〇〇治療」の講演会を聞きにいったが、この治療はどうなのか?
とのご質問でした。

がんの3大治療とは、手術・放射線治療・抗がん剤ですが、この3つの治療以外の治療で、「体に優しい治療」ということです。しかも、「効果がある」ということなのです。ただ、この夢のような治療は、保険が効かず、自費診療で高価らしいのです。

手術・放射線治療・抗がん剤の三大治療は、「体に優しい」どころか、大変つらい治療です。ただ、この「体にきつい」治療でないと「がん」という病気をやっつけるのは、なかなか難しいのです。それほど強い治療をやらないとがん細胞というのは、簡単には死なない細胞であり、だから、「がん」という病気は厄介であるのです。

「体に優しい〇〇治療」で「効果がある」何ていう夢のような治療があるのなら、なぜ、国が認めないのでしょうか?なぜ国立がんセンターをはじめ、各地のがんセンターがまっさきにこのような治療を取り入れないのでしょうか?

残念ながら、この「体に優しい〇〇治療」で、本当に「効果がある」ということは実証されていないからです。
現在では、科学的に検証されたがん治療のガイドラインなど、あちこちに出ているのですが
http://ganjoho.jp/professional/med_info/evidence/index.html
http://www.jsco-cpg.jp/
http://cancerinfo.tri-kobe.org/
これらのガイドラインの中には、このような、「体に優しい〇〇治療」などというものは、ほとんど記載がないのです。ガイドラインの中には、科学的根拠の乏しいものまで結構細かく記載されていますが、「体に優しい〇〇治療」というのは、実際に文献的に報告もほとんどされていないので、ガイドラインにも書きようがない(というくらい信頼度が低い医学情報)がので、記載がほとんどされていないのです。
せいぜい、学会報告レベルの情報はあるのですが、実は、日本の医学会というのは、ほとんど100%採択されてしまう(出せば誰でも発表できる)ので、「○○学会で発表した」というのは、全く信頼できない情報なのです。きちんと医学的なしかも学術レベルの高い医学雑誌に載ったものが、少なくとも必要最小限の信頼できる情報なのです。ここでいう医学雑誌は、実は、英文医学雑誌のことであり、日本語の医学雑誌は文献とは言いません。残念ながら、日本語の医学雑誌は世界的レベルからすると学術雑誌とは認められておりません。また、日本語の医学雑誌の中には、製薬企業がスポンサーをしている雑誌もあり、学術的な論文というより、製薬企業の薬剤の宣伝などにも使われている場合があります。

最近では、「体に優しい〇〇治療」も英文の医学雑誌の文献をつけてくることもありますが、英文医学雑誌の文献もピンからキリまであり、「体に優しい〇〇治療」に関しては、残念ながあら、低レベルの方の英文雑誌に掲載されたものがほとんどなのです。この低レベルの英文雑誌というものも、「出せば通る」ものがありますので、いくら英文雑誌といえど、信頼できないのです。こうした低レベル英文雑誌に載せられた医学情報は、当然上記に示したような診療ガイドラインなどには引用されません。

このように「体に優しい〇〇治療」は、実証されていないばかりか、中には言葉巧みに患者さんの弱みにつけこみ、金儲けのためにやっている人もいます。特にこのような情報は、インターネット上でよく見られます。医療広告というのは、法律で規制されていますし、薬事法でも、「効果がない」治療を「効果がある」と言って宣伝すると、逮捕されるくらい厳しい法律なのですが、

インターネットの情報は、自主的に見るものなので、この医療広告にも当たらないし、薬事法にも該当しない、ということなのです。ですので、インターネット上で、いくら、「がんに効く」「がんが治る」と言っても、現在の日本の法律ですと、何ら罰せられないのです。これをいいことに、日本のインターネット上のがん情報というのは、ひどいものなのです。
東京大学の後藤先生の研究(J Thorac Oncol. 2009;4:829-33 この英文雑誌は、かなりレベルは高いです。)によると、日本のインターネット上のがん情報は、半分以上が、信頼できないものであると言っています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19550244
http://www.cancerchannel.jp/health-education
信頼できない、つまり、悪い言葉でいうと、インチキのような詐欺的な情報がインターネットには満載されているということなのです。このような情報は、かなり多くの例で、〇〇クリニックで出していることが多いです。

患者さんの藁をもすがる弱みにつけこんだかなり悪質なものと思いますが、このような悪質なものが日本では野放し状態になっているということなのです。

「体に優しい」とか、「免疫力を上げる」とか、言葉巧みに誘ってきますので、気をつけていただきたいものです。

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